一級建築士トッティが教える
「建物管理の教科書」

建物管理を詳しく解説!!建物のライフサイクルコストを下げ、長く安定稼働させる!

第3回 修繕の考え方 ライフサイクルコスト 計画的修繕の必要性

みなさん、こんにちは。
シマダリファインパートナーズ株式会社 専務取締役 戸澤晴信です。

今回は計画修繕について解説したいと思います。

前回はライフサイクルコストについて説明しました。建物の一生のコストのうち7割が建物の竣工してからのコスト、そのうちの半分の約3.5割が修繕費となります。
つまり、修繕費を抑えることができれば、建物のランニングコストを抑えることができることになります。

それでは、修繕費を抑えるにはどうしたらいいでしょう?
「修繕って、壊れた都度に直せばいいよね」と思っている方が多いと思います。この考え方はコスト削減につながっているのでしょうか?

例えば、こんな事例があります。

適切な時期に屋上の防水工事をおこなっておらず、雨による漏水が発生しました。全体の防水リニューアルが必要な時期ですが、高額になる為、今回の漏水が発生している箇所のみを部分的に補修。ただ、全体としても劣化が進んでいる為、しばらくして別の部分からも漏水が発生。結果として全体の工事を実施せざるを得なくなりました。また、漏水の伴う室内の復旧工事費も発生してしまいました。

このように、適切な時期にメンテナンスや大規模修繕工事等の工事をしていない場合、緊急工事が必要になります。原因となる箇所の補修工事費は、物件の大きさや内容により数百万、数千万円が掛かることもありますが、準備なく払える方はあまりいないと思います。すると、必要な修繕内容の費用が用意できずに一部工事のみを補修することになります。のちに残りの箇所も修繕が必要になり、結果割高な工事になってしまうこともあります。またこうした場合、工事金額はかかる割にあまりきれいな修繕にならないことが多いと思います。

こうした突発的な工事による支出を抑える為に、計画的な修繕の実施をおすすめしています。

修繕計画表を作成することにより、工事が必要な時期と概算金額を予測しておき、修繕費を積み立てて準備をします。
計画した時期が近付いたら、実際の建物や設備等の傷み具合「劣化状況」を確認し、その調査結果による具体的な実施時期の検討や見積取得をすることになります。

では、長期修繕計画表は、どのようなものしょうか。

長期修繕計画表の主な工事内容は

「大規模修繕工事」等の建築改修工事
「エレベータ」や「ポンプ交換」などの設備工事
「照明器具交換」「自動火災報知設備交換」等の電気工事

などです。

ここに書かれた金額は、概算金額であり物価変動を考慮して実際の価格より1~2割くらい割高になっているのが通例です。一番下にその年の修繕金額の合計があり、それを年数ごとに合計して修繕年数で割ったものが「1年間で積み立てるべき金額」となります。
こうすることによって通常の管理費以外にかかるコストが明確になります。
ファンドやリートは、このような管理費・修繕費を加味して、実質の利回りを算出しています。

長期修繕計画表は、管理会社や設計事務所で作成します。作成にあたって、図面、修繕履歴等の資料が必要になります。また築年が古ければ現場調査が行われます。図面がない場合や配管経路が不明で外部から確認できない場合なども現場調査をします。調査・長期修繕計画表の作成はそれぞれ有料になる場合が多いです。
こうしたことから、なるべく竣工後の早い時期に長期修繕計画表の作成をお勧めしています。

ただし、ポンプやエレベーターが無く、建物設備が少ない場合は、長期修繕計画表までの作成は必要ないように思います。この場合は、大規模修繕工事等の建築工事になりますので、4~6年での鉄部塗装工事、12~15年の間で大規模修繕工事の実施で概算金額を検討すればいいかと思います。

このように修繕を計画することと、あわせて修繕費を積み立てることをお勧めします。
修繕費を積み立てることで、修繕の見積もりを取得してから工事内容を検討する余裕ができると思います。

今回のポイント

「修繕は計画して、修繕費を積み立てましょう」

次回は、「なぜ大規模修繕工事をしないといけないのか。鉄筋コンクリートの特徴」です。

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