一級建築士トッティが教える
「建物管理の教科書」

建物管理を詳しく解説!!建物のライフサイクルコストを下げ、長く安定稼働させる!

第6回 調査でわかって工事内容納得。建物の健康診断

みなさん、こんにちは。
シマダリファインパートナーズ株式会社 専務取締役 戸澤晴信です。

今回は、建物の健康診断にあたる劣化調査について解説したいと思います。
一般的には「建物診断」や「建物劣化診断」などと呼ばれます。目的は読んで字のごとく、建物の傷み具合を知るためです。
表面上傷みが無い場合でも、内部では劣化が進んでいる建物が多くあります。劣化が進むとタイルやモルタルの落下により、居住者だけでなく第三者に被害を与える危険性もあります。

劣化診断結果を記載した建物診断報告書は、補修箇所や工事内容を決めるための参考とします。
また、建物の劣化状況が進んでいれば大規模修繕工事の実施する計画を早め、建物の劣化状況が経年並みであれば、そこからの進み具合を想定して修繕時期を決定します。

では具体的にどんな調査を行うのでしょうか。

調査内容

■目視点検
・屋上 (屋上防水の劣化状況の確認 塔屋や屋上工作物等の錆や劣化確認)
・外壁 (外壁クラック等の確認 タイルの割れや浮き状況の部分的確認)
・シーリング (弾性の有無 切れや痩せ確認 コケの付着等劣化状況の確認)
・塗装 (外壁・天井の塗膜の浮き等の劣化状況の確認)
・鉄部塗装 (パイプスペース扉、鉄骨階段等の鉄部塗装のチョーキング現象、錆の確認)
・床  (モルタル部のクラックの確認 既存床シートの劣化状況の確認 側溝の確認)                                       等

目視点検は、建物の劣化状況を目視で有資格者(建築士、仕上診断技術者)が客観的に指摘し、報告書を作成します。

■機械等調査

・タイル打診調査(タイルの浮きの調査)
外壁タイルを打診棒と呼ばれる道具で叩き、タイルの浮きがある場合に生じる打撃音の違いにから、浮きの場所や範囲、程度の調査を行うものです。 調査した個所を図面に落としていきます。
建物全面打診するには外壁全体に足場を掛けなければならない為、共用部分やバルコニー等数カ所で打診調査を行い、全体の劣化状況の想定を行います。
この場合、大規模修繕工事の実施時に足場を架けてから全面調査を行い、作業範囲を確定させます。

・赤外線調査 (タイルの打診検査前の予備検査)
外壁に赤外線で当てることで温度分析をして、温度上昇などの変化した部分がタイルの浮きがあると推定する調査。少数のタイルの浮きには分かりにくい。タイルの浮きを推定するだけで、実際タイルが浮いてるかどうかは、別途打診する必要がある。(タイルの裏に浮いたことにより隙間が生じ、その隙間とタイル健全部の隙間のない部分と温度差が生じることの温度差を確認する調査、温度差があるところをタイルが浮いていると推測する)

・中性化試験 (コンクリートの中性化の進み具合の確認)
フェノールフタレイン溶液を抽出したコンクリートの断面に吹きかけることにより、変色しなかった部分が中性化しているとして、表面から中性化した深さを確認する調査です。
イメージはリトマス試験紙の液体版。吹きかければアルカリ性のコンクリートは赤色に変色します。(第4回写真参照)

・RCレーダー等(コンクリート内の鉄筋状況の確認)
超音波診断、壁等のコンクリート面に超音波を当てることによりコンクリート内の鉄筋が表示される。鉄筋の配筋ピッチや鉄筋が有無を確認できる。

・シュミットハンマー (コンクリートの強度確認)
小型の機械でコンクリート面に打撃を加え、その反動でコンクリート強度を調べる調査
設計図書のコンクリート強度通り実際コンクリート強度が出ているか確認する。

調査の必要性について

建物診断調査は費用も手間もかかります。目視点検では無料の場合もありますが、機械等診断は、ほとんどの場合有料です。
本当に必要か?とお感じになるかもしれません。

建物診断調査は、建築士等の有資格者が診断することで、建物の劣化状況が明確になり、今後の大規模修繕工事等内容、範囲、時期などの判断資料となります。また、工事見積はこの内容を元に作成します。
人も身体の悪い箇所を検査してから治療しますよね。それと同じで、傷み具合が分からないと、どこをどう直すか判断が出来ないのです。
十数年ごとに定期的に建物診断調査していれば、その建物の履歴が分かり、その後の修繕計画の参考にもなります。

このように、実は大事な調査なのです。

今回のポイント

「建物診断は、人間ドックと同じで建物の劣化具合を知る大事な調査」

 

次回第7回は「最近の調査方法 ドローン調査」です。
この数年当社では高所や屋根にドローン調査を取り入れています。
普段見ないドローンをご紹介したいと思います!

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城西エリア、三鷹市、調布市、狛江市で案件多数。多摩エリア・23区内もご相談ください。

目次

第2章 大規模修繕工事の工事の中身

第3章 その他の計画修繕

第4章 建物の基本

第5章 知らないといけない点検

第6章 物件を買う前に覚えておくこと

第7章 建物との付き合い方

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