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第8回 いろいろある、大規模修繕工事の発注方式

みなさん、こんにちは。

シマダリファインパートナーズ株式会社 専務取締役 戸澤晴信です。

今回は「大規模修繕工事の発注方式」についてお話してみたいと思います。

みなさんが大規模修繕工事を検討するにあたってどこに頼めばいいか、ご経験が無ければ迷ってしまうと思います。そこで今回は、いろいろな計画修繕の発注方式について国土交通省のガイドブックを元に解説します。

大規模修繕工事の発注方法

発注方式は、大きく分けると以下の3通りになります。

1.管理会社一任方式
2.責任施工方式
3.設計監理方式

それぞれの特徴を解説します。

1.管理会社一任方式  (弊社のような管理会社に工事を発注する方式)

調査・設計から施工、工事監理、検査までを管理会社に一任する方式となります。
(多くの場合、管理会社から施工会社へ外注)

メリット
・オーナーの手間が軽減(工事中の苦情、要望等の窓口は日常業務と同じで管理会社が対応。)
・物件の入居状況や周辺家賃動向を踏まえ、リノベーションを含む投資提案も可能(最近の在宅需要による宅配ボックス設置などリーシングを考えた提案)
・日常管理をしていることにより、工事後のアフター対応もスムーズに対応できる。
・オーナーの資産形成を考慮の上、借り入れや節税等を考えた提案ができる。

デメリット
・工事直接発注の責任施工方式より工事監理等の経費の分、割高になる。

2.責任施工方式

調査・設計から施工を施工会社に一括して発注する方式となります。

メリット
・初期の段階から1社での発注となるため、公募・入札方式を採用することにより工事費の削減も可能(見積の比較検討)
・工事の直接発注のため、他の2つの発注方式より、工事費が割安になる。

デメリット
・施工会社がゼネコンのような大手から、町の塗装会社まで規模の違う会社があり、施工方法や工事管理体制が異なり、金額や品質にばらつきがでる場合がある。(「安かろう、悪かろう。」でトラブルになることがあるので、建築を知らない方は注意が必要)
・相見積もりで数社から見積もりをとる場合、各社仕様や工事範囲がバラバラになり易く、比較検討が困難。金額に引っ張られ、適正な工事が分かりにくくなり易い。
・入居者対応は施工会社がするが、場合によっては発注者が対応する場合も生じる。
・工事施工会社自身が監理をすることになり、施工内容やアフター対応が施工会社側に有利に進むことがある。

3.設計監理方式

調査・設計、施工会社の選定、工事監理を設計コンサルタントに委託し、施工は施工会に発注する方式となります。

メリット
・中立的な立場で工事監理の委託が可能
・施工会社選定に競争原理が働き、修繕費の削減が可能
・発注者が希望する仕様の設定が可能
・統一仕様書による入札(相見積もり)が可能なため、見積などの比較検討が容易

デメリット
・施工費以外に設計管理費がかかり、責任施工方式に比べ割高になる。
・本来中立的立場であるが、近年は少数ではあるが、見積もり会社の選定から談合してバックマージンをとったりするトラブルも分譲マンションでは起こっている。見積会社の選定には、注意が必要となる。

以上の通り、発注方法は、大きく分けると以上の3パターンになります。
最近は、工事のトラブルが多いので、国土交通省も民間賃貸住宅の計画修繕ハンドブックを作成して、発注方式や修繕工事の施工方法について述べられていますので、国土交通省のホームページを一度ご覧いただければと思います。https://www.mlit.go.jp/common/001339105.pdf

大規模修繕工事は、多額の費用が掛かりますが、施工の良し悪しで建物のその後の維持状況が決まります。

以前、2回目の大規模修繕工事の提案のため建物調査をしたとき、1回目の工事がずさんで、建物の劣化が進み、2回目の修繕工事にその分の費用がかさんだ事例が数件ありました。1回目の大規模修繕工事がきちんと行われていれば、必要のない修繕費となります。工事の品質は大変大事です。
その点を十分に踏まえたうえで発注方式を検討してください。

手前みそにはなりますが、我々シマダリファインパートナーズでは、「建物が存在するから管理業がある」と考え、修繕工事は、工事単体でなく長い管理目線で見て次回・次々回と修繕がつながるような長期的視野にたって、大規模修繕工事を提案しています。それは管理会社として、大規模修繕工事だけではなく、その後の修繕の計画を提案し、オーナー様と予算や実施時期等、様々なディスカッションしながら管理業務を行いたいからです。

みなさんには、ぜひ納得できるいい工事を行っていただければと思います。大規模修繕工事が、建物の寿命が延ばせるような工事になるように、今回の記事を参考にしていただければ幸いです。

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